「はー、今年もバレンタイン友チョコだけか
ー」
と言う割にはにへらーと笑うりっちゃん。
「結局楽しんでんじゃん...ワタクシがいなく
ても。」
と、私は礼をしてりっちゃんを見上げる。
「執事再び!!」
りっちゃんはビシィッと私を指差した後、転
がっている石を蹴って歩き始めた。
「結局あたしってさ、恋に恋してたってワケ
だ」
おお...?りっちゃんにしては妙に頭がいいな
。
「でも恋に恋をしてて本当の恋してなかった
んだっていう人いるけど、それは恋してるよ
ね...」
りっちゃんが振り向く。
「え?誰に?」
「恋に」
と、りっちゃんがズッこける。見事な転びじ
ゃ。
「りっちゃんナイスバディの割に恋したこと
ないもんねー」
「やだっ..!いやらしい!」
「僕が君のこと見てないわけないだろ...」
「このっ...へんたあああああい」
と、一連の流れのあと、私達は顔を見合わせ
、なんか、すごい笑った。バレンタイン疲れ
じゃこりゃ。
「来年は本命チョコ渡せられるといーね?」
「なによう、思ってないでしょ!こんのアン
ポンタン!」
と昔の少女漫画風にりっちゃんに肩をポカス
カ叩かれた。ちょっとくすぐったい。
私達のバレンタインは、友チョコしかないん
だろうなあ..来年も、再来年も。