「ううーん、美雨早く決めてよ!私も決まっ

たしとっとと決めちゃいな!」


お姉ちゃんが待たされてちょっとお怒りモー

ドだ。


「うーん、、かわいいのいっぱいあるけど、

なんか違うんだよナー..」


チョコ選びに外に出かけてかれこれ数時間が

経った。わたしはうーん、、高級なチョコを

商品棚に戻した。


「あーまた変えるのお!?早く〜」


とイライラが加速した姉を、私はチラッと

見た。


「何その目?おねだりなら口で言って、時間

かかるやつは絶対許さないけど。」


こっちは早く家に帰って彼氏とゆっくり喋り

たいんだよ、という凄味を感じる..。

ちょっと言いにくい事だけど、姉が爆発寸前

なので口を開く。



「手作りチョコ、がいいかなって、、」



「はあ!?どうして最初から言わなかったの

!!」


爆弾のスイッチを入れてしまったようだ。


「うん..だってチョコみている内に気付いた

から..しょ、しょうがないじゃん...」


どんどん声も態度も小さくなった私を見て、

ハァーッと姉はため息をつく。


「しかも手作り一昨年やって、仕上がりビミ

ョー、時間かかる、キッチンチョコまみれ、

お母さんが勉強しなさいもう手作りするなっ

て怒ってたじゃん。」


いいからそん中から選びな。と姉の言葉を防

いで、私はお姉ちゃんの前に立ちはだかった




「お願い、これで失恋したら、もう二度と手

作りチョコなんて作らないから..」


お姉ちゃんは腕を組んで私をジロリと見る。



やっぱりコワイ..。



「今回は本気。 前好きだった人は結構

思ったより簡単に諦められたけど、菜太郎く

んと誰かがもし、もし付き合ったらって思っ

ただけで夜も眠れない、大好きなマンガの内

容も教科書みたいに頭に入ってこない..」


姉は妹が何かおねだりをする時、今回は大切

にするから、大丈夫、できるからの言葉とち

ょっと独特な例えで表現したことを受け止め

て許可してきた。その度に、壊したり、飽き

たりする妹を知っている。それに、今回はお

母さんが駄目だと言っているからーー


「お願い..!」


その目は、いつものその場しのぎの甘えるよ

うな表情ではなくて、真剣で、まっすぐな瞳

だった。