街はすっかりピンクと赤いハートだらけ。女
性達が集まるところに可愛いチョコあり。
「.......................」
私は自分が手と足が同時に出ていたことに気
がついた。
「ちょっと美雨!さっきから無言なんだけど
!!何今から緊張してんのよー!」
隣にいるお姉ちゃんが、私の行動を見てキャ
ハハッと笑った。
「べっ、別にィ〜?ちょっとこういう歩き方
してみただけだったからだしい〜?」
と私はわざとらしく大げさに両手を上げてみ
せた。
「あーもーそんなタコ口しないの!声うわず
ってるし。そんな顔じゃ菜太郎くんにも嫌わ
れるかもよ!ああ、ほら髪ちょっとボサボサ
してる。」
ドキッとした。「ううう..うるさい...」
そう、わたし田中美雨は、同じクラスの尋常
じゃないくらい天使のように美少年の、菜太
郎くんに恋をした。
それで、その男の子に、明日のバレンタイン
の日に、本命チョコ渡そうって決めた.....。
「ヒェアアア...ッやっぱやめようかな!」
とその場で思わず立ち止まって、後ろのオジ
サンが私の背中にドスッとぶつかって、お姉
ちゃんが謝ってくれたけど、気付かなかった
。
「何言ってんの!あんた前、好きな人にあん
たが告白する前に彼女できてて玉砕したんじ
ゃん。」
ほら進メ!とお姉ちゃんが私の肩をドンっと
押した。一応私は歩き始める。
「ええええ..だって菜太郎くん芸能人顔負けの
美少年だから、競争率高いし全校女子が狙っ
てるし...」
それにガサツな私なんかーとお姉ちゃんを見
たら、
「あんたねえ、告白しないで玉砕するより告
白して玉砕した方が100000000倍マシだっつ
の。それにそんな男の子とあんた付き合うな
んて考えられないからプレッシャー感じなく
ていいからぶつかって来い!」
お姉ちゃんがガハハ、とあっけらかんと笑う
。
「ヒドッ。まあそうだけどさあ..」
と本当にチョット泣きそうになってチョコ売
り場に向かった。