うっかり屋さんのネモは、塩と砂糖を間違えてしまったのです。


クジラはぶるぶるっと体をふるわせました。


「何が出てくるかな?」


ネモが首をかしげていると、クジラは「ああ!」と嬉しそうに叫んだのです。


「思い出したよ! 僕はこの味を知っている!」


そして勢いよく吹き出したのは、しょっぱい潮でした。
ザバァッと濡れた食卓を尾びれで叩きつけ、まるで拍手しているよう。


「海だ! 僕のおうちは海なんだ!」