「優莉、お前またあいつの夢でも見てたの?」


出かける準備をする私の後ろから
仁が話しかけてくる。


「さぁ?何の夢見てたのか覚えてないや。」


...嘘。
本当ははっきり覚えてる。

私たちのもう1人の幼馴染

北嶋 丈嗣(キタジマ ジョウジ)

大切な人。
彼の夢を見ていた。


「お前は本当に嘘つくのが下手だな。」


鏡越しに見える仁の顔は
何故か切ないような、悲しい顔をしていた。


「何のこと?」


適当に返事を返す私は、
この時どうして仁があんな顔をしてたのか
考えることもしなかった。