「俺のこと嫌い?美柑」
「っ、、」
私はブンブンと首を横に振る。
嫌いなわけない。その逆だ。
「何それ。可愛いんだけど」
いつもと違う小達に、私はどうしていいかわからない。
わからない。
「俺の方がデカくて、ちゃんと男だ」
「っ、」
「男の前で無防備過ぎんだよ。それとも狙った?」
「そ、そんなわけ…」
「じゃあ、なんで逃げないの」
彼の手先が、優しく私の頬に触れてひんやりと冷たい。
ずっと言えなかったことを。
今なら言ってもいい気がして。
年に一度のこのチャンスを。
逃したら二度とない気がして。
「た、達輝(たつき)が、好きだから」
私がそう言った時、
「うわ、ほんっと生意気」
彼はキュッと片方の口角を上げてから、
「我慢してた分、止めらんないから」
と囁いて、
私の唇をもう一度奪った。
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