【短編】こたつとみかん



「…はぁ…んだよ、色気づいてよ」


っ?!


確かにそれは小達の声だったけど…。


聞いたことない掠れた声だった。


「ほんっと、ムカつくわ…」


え、なに?!


私がムカついていたんだけど…どういうこと?!


開けるに開けられない瞼の裏で、必死に色々考える。





「久しぶり、美柑」


っ?!


突然、唇に何かが触れた。



「小達…」


「っ、はぁ!?起きてんのかよ」


目の前の彼はなぜか顔を赤く染めてて、慌てた様子だ。


そんな顔してたらまるで…。


小達が私に…。



「小達、い、今何したの…」


「っ、ムカついたから」


「答えになってないよ」


いつもは負けてばかりだけど、今は何故か勝てる気がした。