「マジか。それなら、仕方ないな」
 
やれやれ、といった顔でそう言うノンちゃん。

「でも、大橋くんって中学の時から人望もあって、おもしろくて、顔も悪くないから、結構モテてたんだよー」
 
アサちゃんがしゃがんで私の机に手を置きながら、「もったいない、もったいない」とまた言っている。

「たしかにモテてた。でも、今まで誰かと付き合ったって噂はないよね。彼女とかできたら、かなり一途そう」
 
洞察力のあるナナちゃんからの評価も上々な大橋くん。

わかっている。
たしかに彼はさわやかで明るくて誰からも好かれていて、みんなの人気者だ。

私だって、いい人だなって印象を持っている。
むしろ、素敵だとさえ思っていて、自然と目で追ってしまうことだってある。

もう一歩踏みこんじゃえば、恋心になってしまってもおかしくない気持ち。
でも、それでもやっぱり無理なんだ。