“ 過去 ” の話って、言ってたけど…私は、どこの位置にいるんだろう。

“ 過去 ” か、“ 現在 ” か…それともただの身代わりか。



ハッキリしない自分が、自分で嫌になる。

でも、ハッキリさせてしまったら…



「茜ちゃん!」



校門を通る寸前で、門の外から誰かに呼び止められる。

まあ、その可愛い声の主は、当然あの人で…



「…瑠衣、さん…」



どうして今、私を呼んだの?

有馬先輩に会いたくて来たんじゃないの?



突然の事で、私の頭は正常に働かなかった。



「話があるの。その…予定とかなかったら、一緒に来て欲しい」



瑠衣さんはこの前よりも少し控えめにそう言い、照れ隠しのように前髪に触れた。



「…茜、俺ら先帰るな」

「今日の夜、茜の家行くから」



瑠衣さんに聞こえないボリュームでつぶやいた陸とメグは、少し心配そうな顔をしながらも先に帰った。



「…えっと、どこかお店に入ろうか」

「…はい」

「駅の方に行きつけのカフェがあるの。そこでいいかな?」

「私は、どこでも…」



“ 行きつけのカフェ ” なんてオシャレなもの、私にはない。

それに…瑠衣さんの話し方、仕草、動きすべてに可愛らしさや気品を感じ、思わず見とれてしまう。



先輩は、こういう人がタイプなの?


なんて、考えても無駄なことはわかってるはずなのに…