「…ふっ、1人で百面相すんなよ」

「うにゅっ」



いつの間にか私の前に来ていた先輩に右の頬をつままれ、顔が変形する。


しかも今、うにゅって言ったよね!?


恥ずかしい…!



「…似てるな」


「…え?」



何のことだろう、と顔を上げると、先輩は少し苦笑いをしていた。

でも…少し悲しそうな、寂しいような表情で。



「…」

「…ごめん、気にすんな」



何も聞けなかった。

でも、確かにわかることは…



ー先輩が、誰かと私を重ねてみてること。


「わ、私よく犬に似てるって言われるんですよね!全然似てないと思うんですけど…」

「犬に失礼だろ?お前はただのあほ面」

「え、ちょっと先輩!それはただの悪口ですよね!?」



私が先輩に突っかかると、先輩はふっと笑った。



「パッと見で性格わかるって意味だよ」

「それ褒めてないでしょ!」




私といる時、先輩は誰のことを考えているの?

私はいったい…誰の代わりなんですか?