「…………」

秋は冬樹にペコッとお辞儀すると、

先に行く晴彦に走っていった。



「………あいつが、みのるか」



冬樹が呟いたその言葉は、

まだ賑わっている廊下の生徒の声にかき消されて、

誰にも聞かれることは無かった。