(この人、何こんな人が集まるとこで!

何言ってくれちゃてんの!

ばかなの?!そうか、ばかなんだな!!)


手をゆっくり離してから、


「いいですか?恋人と言っても、(仮)。

あくまでお試しといったのは、

先輩の方じゃなかったですか?」


「うん」


「僕は芝居のために、先輩と付き合ってるんです。

だから、その、あまり人に知られたくないんですよ」


「どうして?」


「どうしてってそれは!

……それは、色々と面倒じゃないですか。

先輩人気者なんですから、

ひがみとか、妬みとか怖いんです……」


「ふーん。気にしなくていいのに、そんなの」


「自分が、気にするんです。それに、先輩だってなんか言われるのは、嫌でしょう?」


「……わかった〜!

秋ちゃんと付き合ってるのは、なるべく言わない!」


「なるべく…?…まあいいや、お願いしますね」


「おーけー!

二人だけの秘密っていうのも良いかもね」


「はいはい。もう行きますよ」