(え、どうしてって、

付き合う気がないから断ったんだか、

他に何を答えろと…?)


「えっと、今は誰とも付き合う気はありません。

それに好きってよく分かりませんし…」


「人を好きになったことがないってこと?」


ずいっと距離を詰めてきた晴彦から少し後ろに下がり、


(意外とまつげ長いんだな…)


なんてつまらないことを考えながら答える。


「…いえ、異性を好きになったことはあります。

……い、…いちおう……。

…でも付き合うって言うのが分からないんですよ。

一緒にいるなら、

自分は友達でもいいって思います」


(って何言ってんだか僕は。
初対面の人にこんな事言っても引かれるだけだぞ、)


「そっか〜。分からないかぁ〜」


(あれ?以外と普通に返してきた)


「でもさー、

恋人同士にならないと出来ないこともあるし、

何より友達より恋人の方が距離が近い。


そーれーにー、

お芝居の参考になるかもしれないよ?

困ってるんでしょ?」