恐らく、昔から高い身分の者を幽閉する為に作られた部屋なのだろう。


ドアには物を受け渡す為の小さな扉がある他は小さなのぞき穴があるだけだ。


だが広い窓にはよろい戸があるものの自由に開けることが出来、格子はついていない。

しっくいで塗られた白壁は、足をかける場所もなく下からのぼることはできまい。

むろんこの部屋に下まで届くようなロープはあるはずもなく、窓の外に出ることは死を意味する。



「死ぬ自由は与えてくださるのね」



自嘲気味につぶやきながら外を眺めると、森の木々よりはるかに高い為城下の町をゆく人が指先ほどに小さくみえた。