男装女子。FIRST SEASON






目が覚めると、私は違う場所にいた。


『…海?』


とにかく、外が見える。


…ここ、台湾だよね、まだ。


ガチャ


オト「…おはよう、羽咲。」


『…おはよう、ございます。』


オト「ここ、いい所でしょ?僕達がずーっと一緒に住む、住処。」


『す、みか…?』


オト「そう。」


『…家に、帰りたい。』


オト「帰らせない。それに、君はまだ僕に聞きたいことあるでしょ?」


『……うん。』


聞きたいこと、まだ沢山ある。


『…今、聞いてもいい?』


オト「いいよ。」


『…いつから、私の事を知ったの?』


オト「…僕がまだ15歳の時に、初めて君のことを知った。」


『…今何歳?』


オト「20歳。」


つまりは5年前……ん?あれ?


その年って確か…。


オト「君のご両親が殺された日に、僕は君のことを知ったんだ。知ったというか、その日初めて会ったとも言う。」


何それ…どういうこと…?


オト「その次に会ったのは1年前…あれ、2年前?だっけ。君がまた、彼に攫われた日。」


『…どうしてそれを知ってるの?私は、仲間にしか話してない。』


オト「僕も、あの日、その場にいたから。」


『え…?』


オト「僕はね、君が凄く憎んでる人の、弟。」


『…お、とうと…?』


オト「そう。」


『…ちょっと待って、今すごい混乱してる。』


オト「ちなみに、妹もいたよ。」


『妹…!?…いたって、どういうこと。』


オト「妹は、兄の愛が重すぎて、狂って自殺した。」


『っ…!』


オト「羽咲は僕の妹に似てる。見た目は少し違うけど、きっと、性格とか行動とかが、似てるんだと思う。」


『…つまり、アイツは私に妹の影を追ってたってこと?』


オト「そうだね。」


…そう言えば、碧が、妹っていう単語を出してた気がする。