幻覚だって、分かってる。
分かってるけど…!
『…っ』
震えが止まらない。恐怖で心が壊れそう。
死体が、私の足元に転がってる。
オト「…君の仲間も、そこにいるね。ほら、よく見て?」
あれ、は…。
『しゅ、ん…いず、も…?あれ、みんなも、どしたの…?』
オト「彼らの顔はどんな顔…?」
『…笑ってる。とても、楽しそうに。』
オト「でも君は?君はどこにいるのかな。」
『…わた、しは…あれ、私はどこ…?』
オト「…君がいなくても幸せなんだね。」
『私が、いなくても…?』
オト「そう。君は要らないんだ。」
『私は、いらないの…?』
オト「彼らにとっては、いらない存在だよ。」
『…っ…なん、で…?』
オト「だって、君がいない方が、とても幸せだったんだよ。どうして、君と一緒にいたと思う?」
『…?』
オト「…君が、転校してきたから。仕方なく、一緒にいてあげたんだよ。」
『…しかた、なく…?』
オト「だって君は、両親を殺され、愛しい彼をも殺され、仲間に見捨てられた、とてもとても、《可哀想》な子供だったから。」
『…かわいそう…?私が…?』
オト「同情したんだ、君に。憐れで不幸な運命にある可哀想な子供。」
『…同情…。』
オト「可哀想だね、羽咲。愛する人は殺され、仲間に見捨てられ、ただ人形のように生きる…ああ、可哀想。」
『やめて…私は、可哀想、なんかじゃ、ない…。』
オト「彼らは来ない。羽咲を見捨てたんだ。だって、君は要らない子だから。」
『…っう…あぁ…。』
オト「少し、眠ろうか、羽咲。」
『……。』
すっ、と意識が途絶えた。


