ガチャ


「おはよう。」


『おはようございます。』


「ご飯。」


『ありがとうございます。』


「…じゃあ。」


『…あの。』


「…何。」


『…一昨日からずっとこんな感じなんですけど、何がしたいんですか。』


そう、ずーっとこんな感じなの。


3回ご飯持ってくるだけ。


それだけ。


本当にそれだけ!!


「…君がここにいれば、いいんだ。」


『…意味がわからん。私を誘拐して何がしたいの?』


「…君が傍にいてくれればそれでいい。」


『…逃げるよ。』


「逃げたら許さない。君はもう僕のモノだから。」


許さない。


その言葉に、殺気を感じる。


『…そっか。』


「…じゃあ。」


『…今日の夜、絶対に帰ってきてください。少し話したいです。』


「…分かった。」
























黒い壁に、黒い床。


四角い箱部屋。


昨日付けられた、白い時計。


それと白いダブルベッド。


他には何も無い。


日付も変わる時間。


だけど彼はやって来ない。


『…私とは違う組織…。』


人殺しのみの組織。


年齢制限は無く、その組織に属する人全員が暗殺者。


私たちとは違う。


組織に属する20歳以下の人は訓練生と言って、人を殺す仕事はしない。


まあ、殺しはしないだけで犯罪はしてるけど。


殺しはしないだけで、気絶はさせるけど。


私にとって組織は、家族のようなもの。


みんなが優しくて、暖かい。


…仕事の時は怖いけど。


それでも私の家族だった。


でも、彼の組織は違う。


というか、彼の組織が普通なのだ。