遼「陸!今すぐ碧と羽咲の居場所を特定しろ。」



陸「…?どうして?」



遼「…羽咲が拉致られて、碧が助けに行くらしい。」



灯「ッえ…」



陸「…分かった。」









陸は数分後に場所を特定したが、思ったより遠い場所で、着くのに30分がかかった。



そして、着いた時にはもう






『うわああああああああああああッ!!!!!』







血塗れの碧が横たわっていた。



羽咲は狂ったように叫んでいた。



灯「…やだ…ねえ…碧…!」



祐「碧!!!碧!!!!!」



陸「…ッ」



遼「……クソ…。」



どうして、何故。



遼「…羽咲、どうして、こうなった。」



『…りょ…う…ごめん…ごめんね…。』



灯「ねぇ…碧…死んじゃったの…?」



『…ごめ…ん…。』



陸「…ねえ、何で。」



『…ごめん…ね。』



祐「…オイ、羽咲…!」



『………。』



羽咲の顔を見ると、絶望した顔だったが、泣いてはいなかった。



遼「…お前は、悲しくないのか。」



『……。』



遼「泣くほど、悲しくないのか。…幼馴染で付き合っていたのに。」



『……ごめん…ごめんね…。』



ずっと、ごめんしか言わない羽咲に腹が立った。



羽咲を責めるわけじゃない。ただ、どうしてこうなったかを聞きたいだけだった。



だけど、いくら聞いてもごめんしか言わない羽咲に



遼「…お前の、せいなのか。」



灯「遼!!そんなわけ…」



祐「そう思ってもしょうがねぇだろ…!羽咲は何にも答えねぇし!…なあ、どうなんだよ、羽咲!」



『…ごめん…。』



陸「…先に病院に連れていかないと。」



遼「…クソッ…。」



それから、救急車が来て、病院に行って。



碧はやっぱり死んでて。



遼「……何でお前は…。」



祐「…羽咲が、攫われなかったら…」



灯「……。」



陸「…もしかしたら…イヤ、もしかしなくても、生きてた。」



祐「ずっと、一緒だと思ったのによ…!何で…何で助けちまったんだよ!」



灯「…祐…!」



遼「羽咲なら、一人でも大丈夫だったハズだ。…それなのに何故…?」



“全ては羽咲のせい”



そう思ってしまった。



『………。』



灯「…きっと、羽咲にも何か事情があったんだよ。」



遼「……。」



『……。』



カタン



「「「「!?」」」」



音がした方を見たが、誰もいなかった。



そしてその次の日。



病室にいたハズの羽咲がどこにもいなかった。



きっと売店にいるんだろうと思ったが、何時間待っても来なかった。



灯「…ッ羽咲は…!?」



祐「どこにも居ねぇ!!」



陸「羽咲、何も持たずにいなくなっちゃった…。GPSはずっとここで光ってるから…。」



遼「……!…手紙…?」



手紙が、布団の上に置いてあった。



“ゴメンね。さようなら。”



たったコレだけ。



何も理由も書かずに、消えてしまった。



大事な人が、二人もいなくなってしまった。



「「「「……。」」」」



ガラガラガラ



秋「オーイ、テメェら。碧のところに案内しろ…って、何か辛気臭。」



遼「…秋…さん…。」



秋さんが部屋に入ってきた。



秋「つか羽咲……どこ行った?」



陸「…いなくなった。」



秋「……は?」



祐「……この手紙を残してって…。」



秋「……オイテメェら。…羽咲に何か言ったか。」



「「「「……。」」」」



秋「…お前らバカか。あの事件は誰のせいでもねぇよ。」



遼「…でも、秋さん…碧が死んだ…碧はもう…この世界にはいない…。」



灯「…羽咲、泣かなかった。無表情でずっとごめんしか言わなかった。」



秋「…バカにも程があるな。…お前ら、本心では羽咲のせいだと思ってんだろ。」



「「「「…。」」」」



秋「…そりゃいなくなるだろーな。一番信頼してる仲間は自分のこと信じてくれてないもんな。…ホント、バカだ。」



灯「…秋さん…。」



秋「…つかとりあえず、お前ら出てけ。」



祐「…え…。」



秋「…出てけ。」



ドスの効いた声。震える空間。



遼「……行くぞ。」



陸「でも…。」



灯「行くよ、二人とも。」