男装女子。FIRST SEASON









三日間徹夜でパソコンを見つめて、過去の話で大号泣して、隼の胸の中で疲れたように眠ってしまった。



自分の知らない、誰かの名前を言って。



隼「…アオイ…。」



恐らく、好きだった相手の名前だろう。



隼は少し顔を歪めて、呟いた。



隼「…っ…俺は…お前が…好きだ。」



じっと、寝顔を見つめたまま、繰り返してその言葉を言う。



隼「…好きだ。…愛してる。」



部屋に響き渡る、その言葉は



少女には届かない。



隼「…《ALICE》…確かリーダーも幹部生も高校1年…だったな。」



会ったことのない彼らは、彼女の過去を知っている。



自分の知らない、彼女の過去が。



隼「…何が本当で、何が嘘なのか…。」



見極めなければいけない。



仲間を…彼女を守るために。



隼「…お前はきっと、いつか話してくれると信じてる。…お前の過去が、どんなものでも、俺たちは受け止める。」



だから、今は。



隼「…今は…休んでくれ。」



例え、一時の安息だとしても



どうか、この時間が続いてほしいと、願う。



コンコンッ



隼「…ああ、出雲か。」



出雲「いいなぁ、僕も隼の胸の中で寝たい。」



隼「何言ってんだ。」



出雲「…それで?どうだった?僕達のご飯、喜んでくれた?」



隼「お前の以外はな。」



出雲「ええ〜?貴重な食べ物だと言うのに…勿体無いねぇ。」



隼「じゃあお前が食べろ。」



出雲「遠慮します♪」



隼「……。」



出雲「…羽咲は過去に何があっだだろうね。」



いつも微笑んでいる彼が、急に真顔になる。



隼「…待つしかない。」



出雲「それが妥当だねぇ。…僕達は気長に待っていよう。…でも、その時はすぐにやってくる。」



出雲はたまに…イヤ、普段から何考えているのかよく分からない。



特に急に真剣な顔になって、しかも未来を予知するかのような言葉。



隼「…そうか。」



大体、こういうのはよく当たる。



だから出雲の言うとおり、すぐそこまでやって来ているのかもしれない。




























終始、それは事実だった。