男装女子。FIRST SEASON







隼と話して、なんとなく



怖かったこと、不安だったことが分かった気がした。



私は…私は…



『…私は、ここにいていいの…?』



隼「当たり前だ。…今更何言ってんだ。」



その言葉は、私に凄く響いた。



“当たり前だ”



私の背負ってた重荷が、少し軽くなった。



怖くて、不安で、本当は寂しくて



人に認められたいとも思って



頑張って、自分を強くした。



でも内側が空っぽになっていった。



そんな自分は、嫌いだった。



ずーっと、ずっと。



『…嫌いだった。』



隼「…。」



『…本当はね、嫌いだった。どうしても私は私が好きになれなかった。』



隼「…。」



『…でもね、ここにいて、みんなと会って、辛いことも忘れて、でも夢に出てきて、“お前が死ねばよかった”って言うんだ。』



隼「…っ」



『……私、死んだ方がマシかなって思った時、ここに転校することが決まった。』



隼「……。」



『秋さんがね、ここはバカばっかのいいヤツらしかいないからって。』



隼「…バカばっか…は間違ってねぇな。」



『ふふ…あの時の秋さんの顔といったら…もーすんごいよ?満足そうな顔で自分の生徒を自慢してんだよ?…今思えば、珍しい顔だったな〜。』



隼「…そう…なのか。」



『…まあ何言っても、私はずっと拒否ってたんだけどね。…今は入ってよかったって思う。』



隼「…そうか。」



『だから…』



だから、今のこの生活を壊されたくないの。



毎日が楽しくて、みんなといるだけで幸せで、嬉しくて。



だから本当は誰にも知られずに、



ドロドロした何かを自分の心の奥底にしまい込んで、



『……知って欲しく、無かったなぁ。』



隼「…何故…」



『…だってみんな優しいから。』



隼「…優しい?」



『うん。だって絶対に私を助けてくれるから。』



私が何も言わなくても絶対に助けてくれる。



私は顔にも言葉にも表してないのに。



みんなはすぐ気付いて駆け寄って



心配してくれて



どんなに怖いことがあっても



絶対に助けてくれる。



そんなのは優しい彼らにしか出来ない。



『みんなだけ。…私を助けてくれる。』



隼「…《ALICE》は助けてくれなかったのか?」



『…助けてくれたよ。…でも、私が本当に辛かった時は助けてくれなかった。』



隼「……。」