「…ふふ…面白い…ね。」



『…え。何が。どこが。』



「ふふ…僕、気に入った。」



『え?』



遠くにいた彼が気付いたら顔がくっつきそうな距離にいた。



…反射的に遠のいた。



「…強い…キレイ…暗い…黒い過去も見える…。…ふふ。僕と似てる…。」



『似て…る…?』



「…僕のモノに…ならないかなぁ…。…欲しいなぁ……。」



『え…何を言ってらっしゃるのこの人は。』



「…ふふ…ああ…そうだ。…君を僕のモノにしよう。…ねえ…おいで…。」



『は…?』



カツン…カツン



『ッ…』



一歩一歩、前に歩いているだけなのに、何?この威圧感は…。



このまま近くに来られたら、何か危ない気がする。



私も後ろに遠のく。



カツン…カツン…



『……ッ…壁…。』



まさかの八方塞がり。



『え…ちょ…何だこの漫画的な感じは…』



カツン…カツン…



『…っホントに…あ……』



「ふふ、追いついた…。」



頬に優しく触れられる。冷たい指先に。



『……ッ…』



「…そんなに怖がらなくても…大丈夫だよ…。ふふ…その顔…いいねぇ…。」



『…ッ何か用ですか…!!』



「…怖がってても必死に隠そうとしてるけど…涙目になってるよ…。…ふふ…。」



『…っ…』



何もかも飲み込まれそうな黒い闇…



『う……あ……。』



…ッ体が思うように動かない…!