「…飛鳥」 無意識にそう呟く。 もう泣き腫らして、目元は乾燥してカピカピなのに、また涙がこぼれ落ちた。 「そろそろ来てよ…」 その時だった、張り裂けるような歓声が背後で上がった。 「は、ちょっと待って何あのイケメン!」 「芸能人!?」 「この学校の人じゃないよね!?」 女子の黄色い悲鳴に思わず耳を塞ぐ。 落ち着いたかと思って、恐る恐る手を離した。 「夏実!」 嘘… この声、まさか