眠らせ森の恋

 なんとなくぼんやり浮かぶ顔を思い起こしながら、
「あー、色っぽい系ですね」
と人様の好みを伺い、変に納得する。

「でもそれだと、田宮さんも近くないですか?」

「少しサバサバしすぎで、気が強いからなあ」
と言う西和田に、

「そうですか?
 佐久間さんの方が気が強いですよ。

 古村さんは、あれでなかなか男らしい潔さがありますし」

 私はその方が好きですが、と言うと、こちらを見、

「お前、秘書にあるまじき、顔の覚えの悪さだが、覚えたら、観察眼は鋭いな」
と言ってくる。

 そうですか? と笑うと、
「あれから社長とはどうだ?」
とスパイらしく訊いてくるので、つぐみが小声で、

「なんだか着実に呑み友だちになってってます」
と言うと、

「なんでお前がスパイっぽくなってるんだ」
と言われた。