眠らせ森の恋

「お前なんて、ただ席が近いってだけで、睨まれてるしな。

 俺はただ、お前が、なにか失敗しそうだから見張ってるだけなのに」
と溜息つかれる。

 うっ。

「でも、ちょっと過大評価していただいて嬉しいです」
と言うと、

「過大評価?」
と目を上げ、訊き返してくる。

「田宮さんのような大人の綺麗な女性に、恋敵だと思われて睨まれるなんて」

 西和田さんが私みたいなのに好意を抱くはずなんてないのに、と言うと、
「まあ、好意よりは殺意がわくな。
 この間みたいに、外部の人間が居るときにヘマされると」
と言われた。

 うう。

 そして、好みじゃない、と言い切られる。

「人事の佐久間とか、営業の古村とかが好みだ」