眠らせ森の恋

 




 秘書室に戻った途端、仕事の手を止めた西和田に、
「どうした、ニコニコして」
と言われた。

 斜め横、お誕生日席の西和田を見ながら、
「いえ。田宮さんにお茶の淹れ方をご指導いただきまして」
と言う。

 後でお淹れしましょうか? と言いかけ、
「あ、やっぱりやめときます」
と苦笑いして言うと、西和田はパソコンに目を落とし、

「そうだな。
 やめとけ。

 また無駄に睨まれるぞ」
と言ってきた。

 つぐみは声を落とし、
「あの、田宮さんのこと、わかってらっしゃるんですか?」
と訊くと、西和田は、こちらを見ないまま、

「まあ、結構積極的にアプローチしてくるからな」
と言う。