眠らせ森の恋

 



「失礼しました」
と社長室から外に出たら、たまたま英里が居た。

 うわあ~、嫌だなあ。

 あんた、また社長のとこにお茶運んだの?

 なんで最近あんたなの?

 調子にのってんじゃないの? とか思ってそうだな、と思っていると、
「……あんた、思ってることが全部顔に書いてあるわよ」
と言われる。

 ひい……。

「別にあんたがまずいお茶運んだからって、社長の覚えがめでたくなるなんて思ってないわよ」
と言う英里に、はは、と苦笑いしたあとで、

「そうだ、田宮さん。
 お茶ってどうやったら、上手く淹れられるんですかね?

 本とかネット見ながら、淹れてみたりはしてるんですが」
と言うと、

「本やネット見ながらやってるから、タイミングがずれるんじゃないの?」
と言われた。