奏汰が家に帰ると、つぐみはリビングに居なかった。
まだ誰も入ってはいない真新しいコタツがどんっ、とリビングの中央に置かれているが、温まってもいないようだった。
ひんやりとしたコタツというのも寂しいものだな。
いやいや、入るつもりはないんだが、と思いながら、つぐみの名を呼び、二階に上がる。
つぐみは少し廊下が広くなり、部屋のようになっているところから出られるベランダに居た。
淡いピンクの薄手のニットを手に、星を眺めているようだ。
「どうした?」
と掃き出し窓を開けながら呼びかけると、つぐみは振り返り、
「いえいえ。
こっちに干していたものを取り入れ忘れてたので出てみたら、星が綺麗だったんですよ」
と言ってきた。
「ああ、今夜は月がないからな」
小さな星の明かりもよく見えるのだろう。



