コタツの横を通りながら、奏汰はコタツを見る。

 つぐみがこの部屋に合うように選んだ落ち着いた色の、ふかふかのコタツ布団がかかっていた。

 いまどきの肌触りの良さそうな素材で、つい、触りたくなる感じだ。

 つぐみの熱い主張を思い返しながら、

 コタツって、そんなにいいものなのだろうか、と思う。

 子どもの頃、父にうるさく言われたせいで、どうしても素直には入れないのだが。

 つぐみに、あそこまで言わせるとは、気になるな。

 まるで禁断の果実だ、と思いながら、二階に上がった。

 奏汰は、つぐみを抱いたまま、上からコタツを見下ろし、

 ……ところで、なんで、つぐみはコタツに入らなかったんだろうな?
と思う。

 自分の呟きにつぐみが怯えていることには気づいてはいなかった。

「おやすみ、つぐみ」
と揺れが心地よかったのか、すっかり眠ってしまっているつぐみのこめかみにキスすると、そのまま、自分の部屋に入り、ぱたん、と扉を閉めた。