二時間経って、奏汰が起きてきた。
呼ぶ前にリビングに下りてきた奏汰に、つぐみは言う。
「奏汰さん、食欲ないでしょうけど、食べていってください。
しょうがとスッポンの雑炊です」
「スッポン捌さばいたのか?」
「いや……、買ってきたんですよ。
どんな職人ですか、私」
栄養満点ですよ、と奏汰の前に土鍋を出しながら言うと、奏汰は、
「滋養強壮によかったらまずいんじゃなかったのか」
と言ってくる。
「いいんです。
食べてください。
元気になって」
そう言うと、奏汰は椅子に座りながら、
「キスのひとつもしてくれた方が滋養強壮にはいいんだが」
と呟く。
弱ってるのに、この状況で暇なこと言うなあ、と思いはしたが、れんげを忘れたので、持っていきつつ、軽く触れる程度にキスしてみた。
言っておいて、奏汰は驚いたように固まっている。
「はい、最後まで残さないで食べてくださいね」
スーツ出しておきますよ、と言って、つぐみは二階に上がっていった。



