「いよいよ、親の監査が入るのか」
一緒に社長室から戻りながら、西和田が楽しそうに言う。
「西和田さん、完っ全にっ面白がってますよね。
うちのことにばかり興味もってないで、彼女とか居ないんですか?」
と言うと、お、なんだ、その上から目線、と言われてしまう。
「彼女とかめんどくさいだろ。
後腐れなく付き合えるんならいいけど、すぐ結婚とか言い出す奴ばっかりだし」
「意外な人でなしですね。
とりあえず結婚しろとか言う社長がいい人に思えてきましたよ」
「その人買いみたいな行為の何処がいい人だ。
っていうか、ずっと、すったもんだしてるお前と社長を見てて。
ああ、結婚っていいもんだな、俺もしようかな、なんて思うようになるとでも思っているのか」
と言われ、まあ、そりゃあそうですよね、と思ってしまった。



