つぐみの作ってくれた二、三のツマミをつつきつつ、二人でシンクとつながっているカウンターに並んで酒を呑む。
「そういえば、なんで昨日、俺の側で寝てたんだ?」
と訊くと、つぐみは赤くなり、
「いえ、一人でこの寒々しいリビングで寝てると可哀想かなって」
と言う。
いや、自分が催眠術で此処に寝かせたと思ってるからやましかっただけだろうが、と思っていると、
「ところで、まだ眠くならないんですか? 社長」
とつぐみは訊いてきた。
「奏汰だ」
とグラスを口に持っていきながら言う。
つぐみは既に、かなりぼんやりして来ている。
とろんとした目が色っぽくないこともない。
「私が寝かしつけてあげます」
とつぐみは言うが、これは、全然色っぽい意味でではないんだろうな……と思う。



