眠らせ森の恋

 今度は満腹にさせて寝かせようと言うのか、と思ったら、そうではなかった。

「なに作ったらいいかわからなくて。
 図書館に行ったら、こういう料理の本があったので、綺麗だなあ、と思って眺めてたら、つい」
と苦笑いしている。

「デザートに、カトリーヌがフランスにもたらしたお菓子のひとつ、マカロンです」

 その語り口調に、お前は何処の店の回し者だ……と思ったが、自慢げに脚のある真っ白な皿に盛ったカラフルなマカロンを持ってくるつぐみは可愛らしい。

「カトリーヌの時代のマカロンは、もっと素朴な感じだったみたいですけど。
 今のはカラフルで可愛いですよね」
と微笑む。

 奏汰がキャベツのスープを口にしながら、
「いや、まあ、美味いよ」
と言うと、

「ほんとですか?」
と笑う。

「……でも、毎日はやめてくれ」

 了解で~す、とつぐみは笑って言っていた。