眠らせ森の恋

 



「なに欠伸してんのよ」
 給湯室から戻って、書類仕事の続きをやっていると、英里が訊いてきた。

「いえ、夕べ、床の上に布団敷いて寝たら、ちょっと身体痛くて」

 畳じゃないし、ラグもなかったからな、と思いながら、肩をまわしていると、
「自分の部屋で?」
と問われたので、黙っていると、

「なによ。
 あんたを床に寝かせるの? あんたの彼氏」
と大きなこえで言い出した。

 声、デカイですーっ。
 みんな振り返ってるし。

 っていうか、社長もこっち見てるしっ!

 たまたま、秘書室を訪れたらしい奏汰が、俺が床に寝かせたんじゃないぞ、という顔をしている。

 ご、ごもっともです……ハイ。