眠らせ森の恋

「秋名。
 なにが嫌いって、俺は鸚鵡返しに返してくる奴が一番嫌いなんだよ。

 とぼけんな、と思うし、イラッと来る」
と言うと、えー、だって、なんの話だか、ほんとうにわかんないんですよーと言ってきた。

「夜の方に決まってるだろ。
 お前、まさか、まだ本当に社長となんにもないのか」

「ありませんよ。冗談じゃないです」
と言うつぐみに、

「お前、社長のなにが気に入らないんだ?
 男前だし、仕事も出来る。

 性格もまあ、問題は多分にあるが、悪い方じゃないぞ」
と言うと、

「多分にあるってどの辺でしょうね……」
と呟いたあとで、

「西和田さんは本当に社長のことがお好きなんですね」
としみじみと言ってくる。

「何処がだ」
と言うと、

「私より社長の評価高いです」
とつぐみは言う。

「じゃあ、お前、社長、評価してみろ」