眠らせ森の恋

 




「社長、なに笑ってんですか?
 聞いてます?」

 社長室で奏汰はスケジュールを説明していた西和田に睨まれる。

 いや、と言う頭の中ではまだ、あのつぐみの『ひゃくとうばーんっ』が繰り返し流れていた。

 あまりのマヌケっぷりに可哀想になって、結局、手を放してしまったのだが。

 なんだかんだであいつの思う通りになってるな、と思う。

 まあ、白河さんの調子もいいようだし、無理やり急いで子どもを作ることもあるまい。

 それに――。

 もう少し二人だけで暮らしてみたい気もしているし。

「……最近、楽しそうですね」
と西和田は何故か嫌味のように言ってくる。

「悪いか?」
と思わず言ってしまった。