in麻生

ガラッー
来ているかと思い理科準備室の扉を開けると、案の定そこには春川さんが寝ていた。

ずっと気になってた子。
俺のことを嫌ってると思って話しかけられなかったけど、本当はそんなこと思ってないんだって知って、嬉しかった。

春川さんの日差しに包まれている無防備な姿は癒しで、それと同時に苦笑も生まれてきた。


『嫉妬……したよねー……。』

自分の声が情けなく思えてくる。
こんな悲しそうな顔してるのはあいつのせい?
ねぇ、春川さん、君はあいつが好きなの?俺のところに振り向いてよ。


なんで……こんなにも、好きになったんだろう。
周りの女には興味なんか無くて、春川さんだけが、いつも俺の視界に入ってきた。

優しそうに、
楽しそうに、
ふわりと笑う春川さんを探すことが俺の日課になっていた。

いつも窓で楽しそうに会話をしている姿を見て、いつの間にか俺も話したい、そう思うようになった。


話しかけられた、
連絡先だって交換して。
……それなのに。


あいつには、タメ口で、しかもかずなんて、俺とは随分対応が違うんじゃない?


『春川さん……、俺の所に来てよ…っ』