+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

「そんなっ、ご主人様……!!」

もちろん、弥生も事情は聞いてない。

これは主人同士の約束事。

私は彼女の手を取り、引き寄せた。

背は、私のほうがやや高い。あごを掴んで上向かせ、私と目を合わさせる。

「弥生、人狼の誇りを捨てて人間に従った決断力は称賛に値するわ。そこまでをして負けたアナタは、ならば今から、その取り返しをつけなきゃいけないの」

「……」

「アナタは誇りをかけ、誇りを捨て、誇りを作り、そして負けた。それなら今この瞬間から、私の下僕となり忠誠を誓うことに、新たな誇りを持ちなさい。これは主の命令よ」

そして私の目から、彼女に伝わる。

いいこと、主人公は有能にして最高、ヴァンパイアの執事じゃない。

その主人である私よ。

月を好む魔性は、すべて私のもとにある。

その宿命と関係が。

絶対の法則として、彼女へ。

「わかった?」

と訊ねた時、もう弥生の表情はとろけていた。

どこまでも甘えた、そして素直な声で、彼女はうなずく。

「仰せのままに、ご主人様」