+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

松井に起こしあげられた弥生が、かわいい顔にしわを寄せた。

「情けなど、不要にございます……」

強がっているわりに、さっきまでの半獣化は解けている。

そのダメージがどれだけか、私にはわからない。

それに、その恨みがましい言葉が私にあてられたのか、それともバフィにあてられたのかも、わからない。

けれど、

「アナタに死んでもらうわけにはいかないのよ。私が賭けに、勝ったんだからね」

「? お嬢様……それは?」

聞いていない事実ににわか、バフィが疑問系。

「彼に訊いて」

弥生に肩を貸している松井へあごをしゃくり、説明を促す。

「気付かれてっと思うけどな、弥生が勝てば、俺ンとこは柳沢家の執事に勝るっつぅハクがつくわけだ」

そして彼は、

「それじゃわりが合わねぇってんでな。つまり――」

支えていた弥生を、私へ押し出した。

「俺らが負けたら、弥生は柳沢のもんになる。そーいう賭けさ」

それを私は、受け止めた。

バフィを易々と殴り飛ばす彼女は、ひょっとしたら、私よりも軽い気がした。