+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

弥生が人狼、だから松井はバフィの正体を知っていた。納得できたわ。

弥生も……敵を討つために誇りを捨てるなんて。

いえむしろその決断こそが、誇りと言えてしまうわね。

「はっ。さあ~て」

松井が片手を持ち上げる。リングだらけの指を、バフィへと向ける。

「そろそろ一気に勝負を決めっかぁ? 弥生、やれ」

「仰せのままに」

一歩、進み出た弥生の頭部に、二つの鋭角的な耳が立ち上がる。

体の前面で組まれていた腕が、手先へいくほど太くなり、ナイフを並べたような爪が光をあらわにする。

バフィが私の前に手を出した。

「お下がりを」

「いいえ、下がらないわ」

「お嬢様……っ」

「お黙り。主は私。」

ぱちん。指を鳴らす。

「命令よ。私に一切の危険もなく、勝ちなさい」

「……」

「返事は?」

バフィの手が私の前から、胸へ持っていかれる。

掌を胸に当てた、誓いの示し。

「はい。お嬢様」

そのうやうやしい一礼に、私は大きくうなずくことで応えてやった。