+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

「っしゃあ! 三番勝負、始め!!」

瞬間、松井の呼び掛けで、弥生が疾走に入る。

すごく、速い!!

「お嬢様!!」

バフィが私を抱き抱え、とっさに大きく跳んだ。

弥生が、右手を大きく横に振るうが、空振り。

館の屋根も越す高さをやすやす跳び、けれどバフィは柔らかく着地する。

「お嬢様は、こちらに」

そして私を下ろした彼の服は――

ぱっくりと、カマイタチに襲われたように、切られていた。

避けたはずの一撃で、こんな!?

「バフィ!」

「お下がりを!!」

驚く私を置いて、バフィが弥生へ突進していく。

っ、勝負はもう始まってる……

弥生が人間じゃないとわかった今、私にできることはないわ。

(しっかりなさい柳沢月。主人たるもの、部下を見守るのも役目よ)

見れば松井は、どこかから取り出したタバコをくわえていた。

私と同い年くらいだろうに……不良め。

「バフィ、命令よ! 弥生を倒しなさい!!」

「承知いたしました!!」

返事とともに、バフィが弥生へ拳を突き出す。

コンクリートも粉砕できる鉄拳が、だけど、

バシッ!

と、弥生の掌に受け止められていた。