+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

食堂を出た私と松井は、まず純粋な感嘆の息を漏らした。

今まで、バフィには特別掃除を命令したことはない。

だけど、館の東側は廊下や窓が煌めき、壷や鎧などの調度品はつやを放ち、家具が生き生きとしていた。

新品同様というレベルじゃない。

それを遥かに越える、清浄さのイルミネーションといえた。

ただし、それは弥生の請け負った西側も同様。

つまり勝負は、速く戻ったほうが勝ちという判断になる。

二番勝負の軍配は、弥生にあがっていた。

バフィの耳を引き寄せ、小声で詰問する。

「どういうことバフィ。アナタが負けるなんて……ありえないでしょう?」

「はい……ですがお嬢様、これは事実にございます」

「っ、悠長な性格ね、まったく」

「申し訳こざいません。ですが、これでわかったことがひとつ」

「なによ」

問いに、バフィは一拍を開け、――明瞭簡潔に答えた。

「わたくしでさえ、お嬢様が紅茶を飲み終わるまでという時間は厳しかったのです。が、あのメイドはそれをわたくしより速くやり遂げました。つまり――」

「つまり?」

「あの弥生というメイドは、人間ではありません」