+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

ゆっくりと、時間をかけて紅茶を飲み、二十分が経とうかという時――

重く分厚い食堂の扉が、ノックされた。

勝敗が決したんだ。

無論、広大な館の半分とはいえ、たったこれだけの時間で掃除を終わらせるなんて、『人間』業じゃない。

帰ってきたのは、バフィ。

当然の思いで、

「入りなさい」

と許可した私に、答えた声は、

「失礼いたします」

「!?」

バフィのものじゃ、なかった。

静かに扉を開け、衣擦れの音もさせず、靴音も響かせず入室してきたのは、エプロンドレスを着た大和撫子。

弥生。

「なっ、そんなっ!! 終わったっていうの!? 館の西側を、すべて!?」

驚く私に、弥生は一礼、事務的に。

「はい。お申し付けの作業は、終了いたしました」

「まさか……っ」

唖然とする私の目に、バフィが入ってくるのが映った。

バフィも、弥生がいることに驚いている。

「はっはははっ、あっはははは!」

松井が大きく笑った。

パン、パン、と喜劇の傑作を楽しむように、乾いた拍手が響いた。

「そいじゃま、ちゃぁんと掃除できてるか拝みに行こうじゃねぇか、柳沢」