+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

「さって、三本勝負のひとつめだ」

と、食堂へ進んだところで松井が言った。

「執事、メイドたるもん、主に至福のひとときを与えんのは当然だ。つーわけで一番勝負は、紅茶だ」

その瞬間、この勝負は勝ったと確信した。

紅茶を入れさせたなら、バフィの右に出るものはいない。

褐色の液体を好み、微細な香りさえ嗅ぎ分ける鼻に、そして絶妙なブレンドを生み出す超上級的感覚。

彼が私を、この広い広い世界から見つけ出したのも、その類い稀なる感性の鋭さゆえだ。

「よぅし、始め!」

勝負が始まり、バフィと弥生が同時に紅茶をいれ始める。

勝敗は、最初から目に見えていた。

紅茶は茶葉によって、わずかな手加減、湯加減も要求される。

バフィはその繊細な違いを見事に感知する。

まるで貴婦人の手を取り、優しくダンスへ誘うよう。

彼のいれる紅茶は豪華に、そして濃密な紅へと花開く。

対して松井の弥生は、入れ方こそ間違っていないにせよ、どこか一本調子。

茶葉との対話もなく、すとんと入れられていた。