+ヴァンパイア執事vs狼メイド+

恐らくだけど松井は、あちこちで有能と名高い執事――

つまりバフィを負かすことで、自社の派遣員がどれほどのクオリティを誇っているか、知らしめたいんだろう。

いつもなら、そんな個人のしょうもない野望になんか付き合わないところだけど……

今回は事情が違う。

バフィの秘密を、松井が掴んでいるかもしれない。

公明正大にバラされるわけにはいかないし……

なによりバフィが、あの弥生というメイドに、妙なものを感じてる。

真っ黒く長い髪に、凛とした表情。

大和撫子のような彼女が着るのは、だけど黒い丈長ワンピースに、エプロンドレス。

頭に乗ったフリルが、彼女を完全なメイドに仕立てあげていた。

「恋かしら?」

「ご冗談を。わたくしめはお嬢様ひとすじにございます」

と切り返されたのは余談として、本当に、あのメイドには……

いいえ、あのメイドにも、なにか秘密があるみたいだった。

なにせ、バフィでさえその素性を調べられなかった。

  メイド
あの給仕……まったくいったい、何者かしらね。