その日はお母さんが6時まで
帰ってこないから、
ゆっくりして帰ろうと思っていたのに、
萌愛は鞠華ちゃんを
幼稚園まで迎えにいくと言い早く帰って、
理人は中学から所属していた
サッカー部に早々と入部届けを出し、
今日から部活らしい。



はぁ…暇だなぁ。
5時半くらいまで図書館でも行って
時間を潰すか…。


ガララッ…


少し重たい戸を開けると、
新しい校舎とは少し違った
落ち着く雰囲気が漂っていた。


本の独特の匂いがふわっと香った。


私は気になった純愛小説を
手に取ってみた。


でも、共感できるところなんて、
ほとんどない。


好きなら好きって伝えればいいじゃない。
恥ずかしがることないんじゃない?


相手が女の子と仲良くしてて
なんで胸が痛くなるの?
誰だって異性と親しくするじゃない。


そして、なんで、そこまで
相手のために自分を犠牲に出来るの?


なんで?なんで?ばっかりが頭に
浮かんでは消えた。