私もこのままがいい、なんて思うけど奏多のことを考えるとそうはいかない。


それと、明日お祭りだしね。




「奏多、帰ろ。」


「キスして。」


「え?」


「キスしてくれたら帰る。」




少し笑って目を開ける奏多は、それだけ言ってまた目を瞑った。


私の心臓はドクドクで、またいつものように彼のペースに巻き込まれる。




「家着いてからね。」


「今日は積極的だね。」


「なっ!」




いたずらっ子のように笑う彼は、言い返そうとする私の口を優しく塞いだ。


キスを落とした奏多はニコッと笑い、私の手を引っ張って立ち上がる。



彼にはもう敵わない。


勝てないよ。




「帰るか。」


「うん。」




それから奏多の家に帰って、会えなかった1週間を埋めるように、意地悪されながら夜を過ごしたなんて言うまでもない。