「ほんと?」


「うん!すっごい似合ってた!」




ずっと茶色かった髪は、色が抜けて今では黒に近い。


文化祭までに染めようかな。




「よし、サイズOK。桃ちゃんは黒のメイドさんね。」


「りょーかーい…。」


「そんな嫌がらないの!みんなで優勝しようね!」




文化祭に力が入る理由のほとんどは、優勝すると学食の無料券がもらえるから。


それをプレミアムチケットと呼ぶらしい。




「もーもっ!」


「あ、芽衣。」




制服のリボンを整えていると、前の扉に私を呼んでいる芽衣がいた。




「帰ろ。」


「あー…、まだ帰れないんだよねえ…。」


「そうなの?」


「ごめんね。先帰ってて。」


「オッケイ。気をつけなよ。」


「芽衣もね。」




来てくれたばかりの芽衣は、また回れ右をしていった。


それを見送って、教室に戻る私。


芽衣がいないってことは帰り道ひとりか。