時計の針は1時10分前を指していた。
待ち合わせまで10分しかない。
たぶん、間に合わない。
たぶん、俺の制服姿を見たら驚くだろうし、嘘ついたこともバレると思う。
だけど1秒でも早く綾乃に会いたい。
怒られてもいい。呆れられるかもしれないけど、伝えたい。
ごめん。それから好きだって。
「え、あっ………っ」
昇降口を抜けて走り去ろうとしたとき、視界の端で見覚えのあるシルエットを見た気がして、立ち止まった。
振り返るとそこにはーー間違いない、綾乃が、いた。
「うそ……なんで……」
こぼれた言葉はなんとも間抜けで情けないものだろう。
「補習お疲れ様」
どうして君は笑顔で……?
鼻と、耳と、ほっぺが赤い。
もしかして、この寒空の下でずっと俺のこと待ってたのか?
近づいて頬に触れる。冷たい。
「昨日響くんに聞いたよ。もう、言ってくれたら良かったのに」
「ごめん、俺、言い出せなくて……」



