「大丈夫じゃねぇーよ」
「補習になったから?」
「わかってんなら聞くな」
傷口に塩を塗りやがって、この野郎。
でも悪いのはすべてこの俺。
がっかりさせるよなぁ……絶対……。
これから一緒に帰るときに言わなきゃいけないよな。心の準備が全然できない。俺さえこのショッキングな出来事を受け止めきれていない。
「ほら、彼女待ってんぞ」
「えっ」
響の声に顔をあげる。反射的に廊下を見ると、退屈そうに俺を待つ綾乃がそこにはいた。マフラーと手袋をしていて防寒対策はばっちりだ。若干厚着でもこもこしていて、可愛い。
俺の視線に気づいた綾乃の顔に笑みがこぼれる。伝染して、俺も笑う。
あぁ、愛おしいなって、心の中であたたかいものが溢れた。
かばんを手に取り、駆け寄る。
「お待たせ」
「ううん、帰ろ」
「おう」
顔がニヤけてしょうがない。笑うことを我慢するのが辛い。
自分でも制御できないぐらい、綾乃のことが好きだ。



