「大丈夫か?」



突然、上から声が降ってきた。

ゆっくり見上げると、そこにはいつも良くしてもらっている先輩が、私を見下げていた。

嫌だ嫌だ、こんな姿、見られたくない。



「大丈夫ですよ。ありがとうございます」



私が努めて明るく言えば、先輩は大人しく去っていく。

ホッと安心したのも、束の間。

続いて、別の人物に声をかけられた。



「来栖先輩、本当に大丈夫ですか?顔白いですよ」



別の男子の後輩が、心配してくれている。

しかし、そう言う彼の顔も青白くなっている。



「来栖先輩。無理しないで吐いた方が、楽ですよ」

「んー、多分、そこまでじゃないと思う…多分」

「とりあえず俺、吐いてきます。では!うぷっ」



そう言って片手を上げると、彼は私の横を通り過ぎ、颯爽と走り去っていった。

行き先は、聞かずとも分かる。